いきなりですが、、
生きていくにはお金がかかります。
そりゃそうだよ!当たり前だ!と思われる方のほうが多いかもしれませんね。
はるか昔の狩猟や採集をしていた時代に生きていたり、自給自足をしているなら話は別ですが、現代の世の中では生きていくにはお金がかかります。
ここでは一生を通じて、ライフステージとお金の関係というのはどのように変化していくのか、可視化して全体像を見てみましょう。
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この記事のもくじ
ライフステージとは
良く聞く言葉ではありますが、まず「ライフステージ」という言葉を改めて確認しておきます。
人間の一生における幼年期・児童期・青年期・壮年期・老年期などのそれぞれの段階。家族については新婚期・育児期・教育期・子独立期・老夫婦期などに分けられる。
goo辞書より
「ライフステージが変わった」などと言いますよね。つまり、読んで字のごとく「人生の段階」のことです。
たとえば、結婚したらいままでひとりの人生だったのが、配偶者や子供ができて生活も変わりますし、それにともなっていままでは一人で使えていたお金がそうではなくなったり事情も変わってきますよね。
結婚だけでなく、定年退職をしたとき、独立をしたとき、留学をしたとき、というのもライフステージが変わりますし、生活が変わればお金の事情も変わってくることが想像できますね。
それでは、具体的にライフステージが変化するとどうお金のステージも変わってくるのか見てみましょう。
ライフステージとお金のステージ
こちらの図をご覧ください。こちらは令和元年(2019年)に金融庁が「高齢社会における資産形成・管理」というタイトルで報告した資料のなかの1枚です。
縦軸は「資産額」、横軸が「年齢」です。
出典: 金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」資料より
これを見ると、会社員や公務員などの給与収入を得ている方を前提としていますが、人生のライフステージは大きく3つに分けられます。それぞれのステージとお金の関係を詳しく見てみます。
①現役期は資産形成期
まず1つ目のステージは現役期。一般的には、高校や大学・大学院を卒業した後に就職し、60歳ごろに定年退職を迎えるまでがいわゆる「現役」の期間になります。この期間は働くことによってお給料(勤労所得)を得ていく時期です。人によっては結婚、子供の誕生、住宅購入、子供の入学・進学、親の介護などのライフイベントが訪れます。
多くのライフイベントが発生するので支出も多々ありますが、現役期の全体を通しては収入よりも支出を抑えて、資産を形成していく時期です。例えば、貯蓄や金融資産(株式・債券・投資信託など)や自宅などの不動産などで資産を形成していくことになります。なので、図中にある資産額を表す黒い線は右肩上がりになっています。つまり、現役期は資産形成期なのです。
②リタイヤ期前後は運用・取り崩し期
次のステージはリタイヤ期。60歳前後で定年退職を迎え、現役期よりはお給料が下がりますが(図より再雇用時の給与水準は65.4%)そのあとも再雇用で就労を継続することが一般的になってきているかと思います。
この時期には長年住んでいるマイホームのリフォームが必要となってきたり、子どもが独立したことで夫婦2人が住むのにちょうどよい家に住み替えを行ったりすることが考えられます。
お金のほうはというと、定年退職を迎えることで退職金を受け取り資産額はグッと増えます。会社によっては企業年金もあるかもしれませんね。再雇用で就労を継続している間は、お給料(勤労所得)による収入もあります。この収入は現役期よりは少なくなりますが、支出のほうも一般的には現役期よりは少なくなると考えられます。例えば、現役期みたいな会社での飲み会やお付き合いというのは減るでしょうし、子どもも独立していくからです。なので、支出と収入を同程度の水準にして、なるべく資産を減らさないようにする時期です。なので、図中の資産額は横ばい状態になっています。
③高齢期は資産管理期
最後のステージは高齢期です。再雇用も終了し、お仕事を辞めたあとの時期から最期を迎えるまでの時期です。健康であることが一番ですが、もしかしたら自身に介護が必要になってくる時期でもあるかもしれません。
お金のほうは、この時期は収入としては公的年金があります。公的年金は原則は65歳から受け取ることができます。(「繰上げ」、「繰下げ」と言って、受給を60歳に早めたり、70歳に遅くすることもできます。*)そのほか人によっては私的年金(個人年金保険やiDeCoなど)もあるかもしれませんが、収入よりは支出のほうが大きくなり、いままで築き上げてきた資産を取り崩して生活していく時期です。資産額を表す線は右肩下がりになっています。
個人的には、資産管理期というより、いままで築いてきた資産を取り崩して活用する「資産活用期」と言われたほうがピタッと来る気がしています。
*法律が改正されて2022年4月からは最大75歳まで年金の繰下げができるようになります
ライフプランとマネープランを考える
人生が3つのステージに分けられることが分かりました。簡単に言ってしまえば、人生の前半の若いうちは働いて収入を得て資産を築き、人生の後半はその資産を使いながら生活していくという図だと言えます。逆に言うと、人生の後半、つまり老後の生活ができるように、人生の前半ではしっかり資産を形成しておきましょうとも言えますね。
金融庁が出しているこの図の考え方は、最も一般的な学生を卒業後に働き始めて勤労所得を得ていくパターンです。「私は自分でビジネスをしていくので生涯現役だ~!」と思っていたり、「労働からはリタイアした後も不動産収入や配当収入を現役と同程度得られるようにしている!」なんて方はグラフの描く線がこの限りではないでしょう。
特に、最近話題のFIREの考えは、リタイア後も資産額を減らさずに配当収入や不動産収入で必要生活費を賄う考え方ですので、この図の後半の資産額が右肩下がりになる線は当てはまらないかもしれません。
ライフイベントからライフプランを考える
結局、大事なのは、自分のライフプランをどう描くか?ということです。ライフプランとはすなわち「人生の計画」。
人生には様々なイベントが起きます。大きなものでは結婚、出産、子育て、住宅購入、引っ越し、転職、留学、独立、旅行などがありますが、これらはライフイベントと言われます。このライフイベントを計画したものがライフプランなわけです。
「ライフプランと言っても、そんな先のコトなんて誰にも分かるわけもないし、自分が思い描いた通りになるわけないじゃないか」と世の中を斜に構えていたのは若いころのわたしです(笑)。
そうです!1秒先から未来なんですから、未来がどうなるかなんて誰にも正解はわかりません。
それに自分が望んでいないライフイベントでも、例えば病気やケガ、失業、あとは離婚などが起きるかもしれません。描いた通り100%の人生になるわけではないです。
でも、だからこそThe best way to predict your future is to create it.という私の大好きなドラッカーの言葉があるのですが、「自分の人生を予測する最良の方法は自分で創ること」なのだと思うのです。
ライフプランからマネープランを考える
最近、人と話していて「なるほど~」と言われることが多かったのがこんな話です。
「投資や運用って思い描いたライフプランを実現したいっていうような人生の願望があって、それを叶えるのがマネープラン。だから、あくまでもお金は自分の望みを叶えるための手段なんだよ」というと、「へー!確かに!」と言われたことがここ最近連続でありました。
「投資」「運用」という言葉を聞くと、どうしても「お金を増やすもの、株式などのマネーゲームのイメージ」と言われる方が多いです。私も過去はそう思っていましたが・・・。なんとなく、投資・運用=とりあえずお金を増やすもの!!ドヤッみたいなイメージありませんでしたか?
でも、やたらめったらとりあえずお金を増やすのが投資や運用の目的ではなく、自分の人生を思い描いたものにより近づけるための効率的な手段が、投資や運用であるのだと私は考えています。
そのために必要なのがマネープラン=お金の計画なのですね。
自分はどう生きるか?お金に向き合うことは人生に向き合うこと
上記に書いた通り、ライフプランというのは考えたからと言って、その通りに100%実現するわけではありません。ただ、「思考は現実化する」というように、思い描かなければ実現しないとも言えます。
マネープランを含めて、お金について考えることは、自分がいつまで働くのか、生涯現役なのか、だとしたらどんなスキルを身につけておくか、どんな生活がしたいのかなどということを考えていくきっかけになります。
だからこそ、お金に向き合うことは人生に向き合うことだと私は思うのです。
ライフプランもマネープランも一度考えたら終わりではなく、必要に応じて変更したり修正したりする必要があります。
「私はどう生きるか?」ということはずっと考えていきたいものだなと思います。