よく、「年収は?」「収入は?」「手取りだと」「額面だと」というように収入を表現する言い方っていろいろとされますよね。
年収は「年間の収入」のことを指しているのはわかりますが、では額面や手取りの違いってなんとなくは分かっていると思いますが、なぜそこに差額が生じるのかなどしっかり分かりますか?
額面と手取りの違いが分かると、お金の情報がいろいろと見えてきます。
ここでは、主に会社員の方向けに、額面と手取の違いを説明しながらお金の仕組みについて説明していきます。
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この記事のもくじ
額面と手取りの違い
まずは額面と手取りの違いを整理しておきましょう。
ここでは自営業の方と会社員の方を両方合わせて比較してみると分かりやすいかと思います。
下の図を見てみて下さい。
自営業の方の場合の手取り
具体的に例えば個人でパン屋さんを営んでいるとしましょう。
パン屋さんはパンを作って販売したその売上が収入です。
でもパンを作るためには材料費や人件費などの経費が諸々かかっています。
なので売上から経費を引いたものが儲け、つまり利益になります。
そこからさらに自分で社会保険料や税金を支払うことになりますので、それらを引いたものが最終的に手取りになります。
会社員の方の場合の手取り
次に会社員の方です。
会社員の方は、お給料から社会保険料や税金があらかじめ差し引かれて銀行口座に振り込まれます。この口座に振り込まれる額が手取りとなります。
この社会保険料や税金など、一定の金額を差し引くことを控除と言います。
給与から控除することを、給与天引きとも言ったりします。
手取りとは可処分所得
ここまで説明したように、手取りは税金や社会保険料なども差し引いた、最終的に手元に残るお金です。
なので、この自由に自分の意思で使えるお金のことを可処分所得と言います。
読んで字のごとく、自由に処分できる所得という意味ですね。
額面と手取りの違いで意識して気をつけなければならないのは、例えば、転職のときなどが考えられます。
求人広告に書いてある給与はほとんど多くの場合が手取り額ではなく、額面です。
額面だけを見て、「転職すれば年収が100万円アップするぞ~」と思っても、手取りで考えると実際に増える金額は100万円よりも少ないわけです。
また、逆に手取りが見えているけれど額面が見えづらいのはこんなときではないでしょうか。
会社員の方は給料日にいくらお給料が口座に振り込まれるかは気にすると思うのですが、その振り込まれた金額というのが、社会保険料や税金がどれくらい差し引かれた後の金額なのか、ということはあまり気にしたことがないのではないでしょうか。
額面から控除される社会保険料や税金とは?
それでは、 そもそも額面から差し引かれる社会保険料と税金とは何なのかを見てみましょう。
社会保険とは
まず、社会保険料と名前がつくからには、社会保険に対して支払う料金のことですが、社会保険について簡単に説明しておきます。
社会保険というのは広義でいうと、日本にある社会保障制度のことです。
- 医療保険
- 年金保険
- 介護保険
- 雇用保険
- 労災保険
これらの5種類の社会保障制度のことです。
社会保険の中でも、会社員の方に特に関係のある健康保険、厚生年金保険、介護保険の3つをまとめて狭義の意味での社会保険*、残りの雇用保険と労災保険のことをまとめて労働保険ということがあります。
額面から控除される社会保険料
それでは会社員の方が、お給料の額面から控除されている社会保険料を説明します。
健康保険料
健康保険料は公的医療保険制度のための保険料です。
会社員の方が受けられる公的医療保険の身近な例はこちらです。病気やケガで病院にかかったときには、窓口で健康保険証を見せて診察後にお会計をしているのが通常かと思います。このとき窓口で支払っている診察料というのは、実際にかかった費用の原則3割(年齢や所得によっては1割、2割負担の方もいます)の支払いで済んでいます。
その他にも公的医療保険で受けられる給付の例としては、病気やケガで働けなくなった時の給付(傷病手当)、出産したときにもらえる給付(出産育児一時金)などがあります。
厚生年金保険料
厚生年金保険料は公的年金保険制度のための保険料です。
原則65歳から貰える老後のための老齢年金、亡くなった時に遺族が貰える遺族年金、障害をおったときにもらえる障害年金などは、すべて公的年金保険の制度です。
介護保険料
介護保険料は公的介護保険のための介護保険料です。こちらは40歳以上の人が支払うこととなっています。
介護が必要と認定されると、介護費用の1~2割を支払うことで介護サービスを受けることができます。
給付事由に該当したときには健康保険や年金保険のようにお金を受け取るのではなく、サービス(例えばヘルパーさんの訪問など)を受けることから現物給付と言われます。
雇用保険料
最も身近なのが一般的に言われる「失業保険」(社会保険上では、基本手当と呼ばれます)でしょうか。
雇用保険からはそのほかにも、教育訓練給付金と言って国が指定する講座を受講して修了すると、それらにかかった受講料や入学金などの一部を支給されるものなど、いくつかの給付金があります。
額面から控除される税金
次に、会社員の方のお給料から差し引かれている税金は所得税と住民税になります。
かなり平たく言うと、所得税は収入があれば支払うもの、住民税は日本に住んでいれば支払うものです。
所得税
所得税は、所得がある個人が国に対して納める税金です。
会社員の方なら、会社からもらうお給料にかかります。
会社員の方は、毎月のお給料から源泉徴収と言って、所得税が給与天引きされます。
※ここでは収入と所得の違いについての説明は割愛します。
住民税
住民税は、所得がある個人が都道府県や市区町村に納める税金です。
住民税は前年度の所得を元に計算されるので、よく社会人2年目になると住民税が天引きされるようになって1年目より手取りが少なくなった、なんて声も聞くことがあります。
(地域などのその他条件にもよりますが、およそ年収100万円程度を稼いでいると住民税がかかるので、就職前からアルバイトなどでたくさん働いていたなんて方は、社会人1年目から住民税がかかる場合もあります。)
会社員の方はお給料からこれら社会保険料と税金が毎月天引きされています。
それらの1年間の天引きされた金額のお知らせの1つと言えるものが源泉徴収票です。
源泉徴収についてはこちらの記事でもご紹介しているのでご覧ください。
額面から控除されるその他のもの
お勤めの会社によっては社会保険料と税金以外にも、お給料から控除されているものがあるかもしれません。
私が以前勤めていた会社では組合費が控除されていました。
他にも、例えば社員両行の積立金などがあるかもしれません。
額面月収30万の人の手取りはいくら?
では、月収30万円の会社員の人を例にどれくらいの社会保険料と税金を払っているのかを見てみましょう。社会保険料も税金もそれぞれお給料(正しくは所得や標準報酬月額)に応じて支払う割合が決まっていて、お勤めの会社や地域によってそのパーセンテージが少し異なるのですが、ここでは詳しい説明は省いて目安としてご覧ください。
ご覧のように、月収30万円の場合は、合計で約6万円が差し引かれるわけです。
介護保険料は40歳以上の人が支払うものなので、この例の30歳の方は0円になっています。
この金額を見てみると、意外と所得税よりも住民税のほうがインパクトが大きかったりしますよね。
さて、額面では30万円、手取りでは24万円。
例えば30万円お給料があると聞いて30万円をどう使うかと考えていたのに、実際自由に使えるお金は約24万円だったとなると結構感覚的に変わってきますよね。
まとめ:お金の仕組みが見えれば、社会の仕組みが見える
さてここまで額面と手取の違いを説明してきました。
今日、覚えておきたいのはこちらです。
・会社員の額面からは、社会保険料や税金が差し引かれている
・その差し引かれていることを控除と言い、特に給与から控除されることを給与天引きと言う
・控除された社会保険料や税金で私たちは医療や年金などの様々なサービスを受けている
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